お客様インタビュー Vol.03
就労継続支援A型X飲食業のM&A。売り手様と買い手様からのお声をいただきました。
売り手様からのお声はこちら
飲食業と就労継続支援A型を運営されていた松浦様、二人三脚で一緒にやってきた奥様をリタイアさせたい、これからの余生を楽しみたいということで譲渡を決意されました。
そして譲受された安藤様は新規事業であるお弁当事業の強化とお客様を喜ばせたいという思いから福祉事業に参入されました。
お二人からM&Aについてお話を伺いました。今回は買い手様のや.フードサービス株式会社の安藤様編です。
インタビュアー
ブティックス株式会社 井上
【井上】 安藤様の経歴をお話しください。またどうしてM&Aをしようと思われたのでしょうか?
【安藤様】 愛知県で居酒屋を5店舗運営しています。
ここ3年ほどこのコロナで居酒屋は完全に止まってしまい、売り上げが低迷している状態でした。従業員10名ほどいるため、試行錯誤しながらやってきました。その施策の中の一つとしてお弁当を始めました。
地方なので、都会にあるようなUberEatsや出前館などなく、当時はまだそういった会社は入ってくる前でしたので、注文から1時間くらいで配達までを自社でやったらいいのではと思い、広告を出したところ反響が良く、これはいけると思いました。
これまではお客さんが来ない中でお店を開けている状況で、必要されていない感がありましたが、お弁当をやることで声をかけてくれるお客様が増え、仕事をする喜びを感じられた事業になっていきました。
コロナが収束し、居酒屋業界にも客足も戻ってきましたが、お弁当事業で築いたお客との絆を大切にしたい、お弁当事業を1つの柱として定着させていきたいと思うようになりました。しかし、居酒屋の中ではお弁当事業をするには場所もなく、おろそかになってしまう部分もありました。お弁当事業を居酒屋とは別の事業としてやっていくために、お弁当事業に注力するためのM&Aを検討し始めたのがきっかけです。
【井上】 今回のM&Aでは飲食だけでなく就労継続支援A型も併せて買収されましたが、もともとやりたいと思っていたのですか?それとも今回の縁があて始めることにしたのでしょうか?
【安藤様】 実は私が運営している店舗の一部でやどかり弁当をやっていましたそこから就労継続支援A型の話を聞き、同様の事業をしている他社の研修へ行ってみたこともあり、情報収集は以前からしていました。お弁当事業ということで対象企業を探している中で見つけた松浦社長の事業とは共通点があり、ぜひお話を聞いてみたい、ということで問い合わせをしました。
【井上】 情報収集はされていても、まったくの新事業となりますが、不安などはありましたか?
【安藤様】 最初は初めての福祉の世界なので収益に結びつくのかどうか心配でした。
井上さんにいろいろと間に入っていただき、不安解消のために実際に福祉を運営している方を紹介いただき、その方からいろいろと話を聞く機会をもらったことで、今やっている飲食業と福祉は同じように人に喜びを与える、喜びを共有できる仕事だということを感じることが出来ました。
やっていきたいという気持があれば、素人でもやっていける、ホスピタリティも飲食と同じならばやっていけるのでは、という気持になりました。
まだ知識はありませんが、気持ち的にはやっていけるという気持ちになれたのは、井上さんのおかげだと思っています。
【井上】松浦様にも伺いましたが、安藤様には引継ぎで不安はありましたか?
【安藤様】 一番難しいというところは経営をだれがやるのか、という部分です。自分にも会社があり、ずっとつきっきりでやることはできないと感じていたので、誰か担当者を持ってくるということを考えていました。うちの社員はそれぞれ1店舗を経営してきて人事管理から経営部分もやってきているので、出来ると思っていましたが、店舗ではなく会社の経営を任せるという部分、またいまの松浦さんの代わりになれるかというと難しいと感じました。
【井上】 従業員説明会では安藤様はどのようなことを話されたのですか?
【安藤様】 簡単な自己紹介と今後拡大していくことを話しました。全員での説明の後に個人面談の時間をもらい、社員、利用者さんとそれぞれ一人一人面談をしました。そこでも今後やっていきたいことなどを話しました。
【井上】 スタッフの方の反応はいかがでしたか?
【安藤様】 最初は身構えている感じでしたが、冗談交じりに話しながらコミュニケーションをとることが出来たので、みんなと一緒にやっていけると思っていただけてのではないかと思っています。
【井上】 事業の拡大のイメージがあるとのことでしたが、や.フードサービス今後のプランはどのようなものなのでしょうか?
【安藤様】 居酒屋はコロナが収束してきたので、回復基調にありますので、お弁当事業を注力していきたいと思っています。居酒屋はこれまでずっと運営してきて自分の畑なので、お弁当事業よりは収益を上げやすいと思っています。
まずはお弁当事業に注力して形を作り、居酒屋事業とお弁当事業の2本柱ができるように、多角経営をできる形にして経営を安定させていきたいと考えています。また福祉の部分もやりながらにはなりますが、一つの経営基盤にできればと思っています。
今後のお弁当事業ですが、まずは設備投資をしていまある大広間などを改修して調理と配膳のスペースを作っていく予定です。
現在の会社向けのお弁当いまは500食くらい販売しているのですが、現状はこの500食で手いっぱいですが、設備投資をすることで年内には1000食、3年以内には2000食くらいには製造能力を持っていき、収益を上げられる体制を作りたいと考えています。
人手も必要になってくるので、A型事業で働く人たちの手を借りてお互いに仕事を増やし、給料も上げてお互いにWin-Winになる形を作っていきたいと思っています。
【井上】 1000食はすごいですね。譲渡から2ヵ月で150~200食ほど販売が増えているという話を伺ったのですが、どのようなことをされたのでしょうか?
【安藤様】 特別なことはしていません。今までやってきたことを継続してしっかりやっています。例えば配達の方がその合間に近隣の企業に営業をかけるなどですかね。やっぱり従業員の方が意欲的です。松浦社長のモチベーションのあげ方が上手なのだと思います。今後も松浦社長の力を借りてやっていくことになると思います。
【井上】 いま新規業態の買収を検討している方へのアドバイスがあれば教えてください。
【安藤様】 今回初めてM&Aをしたので、良いアドバイスができるかはわかりませんが、一般的に言われているようにM&Aは時間を買うということです。
今回のお弁当業や就労継続支援A型も自分で始める場合にはそれなりの時間と人が必要ですが、そういったことを短縮できるというのは良いことです。
ただM&Aを成功させるためには買う側と売る側のお互いの考え方などが一致しないとダメだと思います。商売人ですから、いい思いをしたいというのはもちろんあると思いますが、お互いが一緒にやっていくことに対して先が見えるかな、と思える状態でM&Aをすることが出来るのが良いと思います。
【井上】 最後に弊社のサポートはいかがでしたでしょうか?
【安藤様】井上さんにはたくさんサポートをしてもらいました。いままで福祉の事業をしたことがなかったのですが、その不安を解消するために話を聞くための人を紹介してくださったりと、ほかにもいろいろと動いていただき助かりました。
このインタビューのあと、実は安藤様、松浦様と井上で就労継続支援A型だけでなくほかの業態でやっていくことなどの相談をしていて、井上を頼ってくださっているのが良くわかりました!
井上からのコメント
本件は100名規模の飲食店に就労継続支援A型がセットとなっている案件でした。 就労を運営している会社様には飲食が大きすぎるとのご意見が多数、飲食店を運営しているや.フードサービス様と出会えたことで良いマッチングになりました。何事もタイミングが大切です。その中で私が協力できることは協力し、不安材料はなくなりませんが、1つでも少ない状態で譲渡成立となるよう、動きました。松浦様・安藤様の信頼関係構築、今後のビジョンのすり合わせをしっかりと行い、譲受後も双方スムーズに進める様にするのが私たちM&A仲介の仕事だと思います。事前にすり合わせを行った目標に対し、双方で伸ばされていることを伺うことができ、私もうれしく思います。