令和9年度報酬改定を見据える
食事提供体制加算は今後どうなる?事業所が今から準備すべきポイント
障害福祉サービス事業所において、多くの事業所が算定している「食事提供体制加算」。
利用者の栄養管理や健康維持を支える重要な加算ですが、近年は単に食事を提供するだけではなく、「栄養管理」を重視する方向へ制度が大きく変化しています。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定では、食事提供体制加算の要件が見直され、栄養管理に関する新たな要件が追加されました。また、現在の食事提供体制加算は経過措置として令和9年3月31日まで継続されており、その後の制度設計については厚生労働省の社会保障審議会等において引き続き検討が進められています。
そのため、令和9年度報酬改定では、制度の継続だけでなく、要件の見直しや評価方法の変更などが行われる可能性もあります。今回は、現行制度を整理するとともに、今後想定される制度改正と、事業所が今から準備しておきたいポイントについて解説します。
1 食事提供体制加算の目的を改めて確認しましょう
食事提供体制加算は、「食事を提供したこと」自体を評価する制度ではありません。
本来の目的は、障害のある方が安心して生活を送り、健康状態を維持できるよう、適切な栄養管理のもとで食事を提供することにあります。
特に、
- 就労継続支援B型
- 就労移行支援
- 生活介護
- 共同生活援助
- 短期入所
例えば、
- 糖尿病への配慮
- 高血圧に対応した減塩食
- 嚥下機能に配慮した刻み食やミキサー食
- アレルギーへの対応
- 肥満や低栄養への配慮
そのため、食事提供体制加算は「食事を出したから算定できる加算」ではなく、「利用者の健康を支えるための栄養管理を適切に実施していること」を評価する制度へと変化しています。
2 令和6年度改定で大きく変わったポイント
令和6年度報酬改定では、栄養管理を重視する方向へ制度が見直されました。
主なポイントは次のとおりです。
(1)栄養士・管理栄養士による関与
献立について、栄養士又は管理栄養士が関与する体制が求められています。自施設に配置していない場合でも、
- 委託給食会社
- 他法人との連携
- 外部栄養士との契約
重要なのは、「栄養士が関与している」という事実だけでなく、その内容が記録として残されていることです。
(2)利用者の栄養状態の把握
食事提供だけではなく、- 体重
- BMI
- 摂食量
- 食欲の変化
これにより、「毎日同じ食事を提供している」というだけでは不十分となっています。
(3)個別支援計画との連携
食事は生活支援の一部です。そのため、
- 個別支援計画
- モニタリング
- ケース会議
「食事面でどのような支援が必要なのか」を検討することも重要になります。
例えば、
「最近体重が減少している」
「食事量が少なくなった」
「嚥下機能が低下してきた」
といった変化を把握した場合には、必要に応じて支援内容へ反映することが望まれます。
3 運営指導で確認されやすいポイント
近年の運営指導では、算定要件を満たしているかどうかだけではなく、「実際に取り組んでいることを記録で説明できるか」が重視されています。
特に確認されやすいものとして、次のような書類があります。
- 献立表
- 栄養士との契約書や委託契約書
- 献立確認記録
- 栄養士からの助言記録
- 体重測定記録
- BMI管理表
- 摂食量の記録
- 食事形態変更記録
- 個別支援計画
- モニタリング記録
- ケース会議議事録

4 令和9年度報酬改定ではどうなるのか
現時点(令和8年8月)では、令和9年度報酬改定の詳細は公表されていません。
しかし、厚生労働省では食事提供体制加算の今後の在り方について継続的に検討が行われており、現在の経過措置は令和9年3月31日までとなっています。
そのため、次のような見直しが行われる可能性があります。
① 栄養管理要件のさらなる充実
体重測定やBMI管理だけでなく、- 栄養スクリーニング
- リスク評価
- 栄養改善計画
② 管理栄養士の関与強化
現在は栄養士又は管理栄養士による関与でも要件を満たせる場合がありますが、今後は管理栄養士による専門的な関与がより重視される可能性も考えられます。
③ 利用者ごとの個別対応の評価
画一的な献立ではなく、- 糖尿病
- 腎疾患
- 低栄養
- 嚥下障害
④ 加算体系の見直し
現在の食事提供体制加算がそのまま継続されるのではなく、「栄養管理加算」
のような評価体系へ再編される可能性も否定できません。
ただし、これらは現時点ではあくまで制度検討の状況を踏まえた想定であり、今後公表される報酬改定資料や関係通知を注視する必要があります。
5 今から事業所が取り組むべきこと
制度改正が行われてから慌てて準備するのではなく、今から次のような体制を整備しておくことをおすすめします。
まずは、栄養士又は管理栄養士との連携体制を確認し、献立の確認や助言内容を記録として残せる仕組みを整えましょう。
また、体重測定やBMI管理だけではなく、食事摂取量や体調の変化を日々記録し、必要に応じて個別支援計画へ反映する流れを構築することも重要です。
さらに、サービス管理責任者や生活支援員、看護職員などが定期的に情報共有を行い、利用者の健康状態をチームで確認できる体制づくりも求められます。
こうした取組は、加算算定のためだけではなく、利用者の健康維持や重症化予防にもつながり、支援の質を高めることにもつながります。
6 障害福祉サービス制度をふまえてのアドバイス
障害福祉サービス制度は、近年「支援の実施」だけではなく、「その支援をどのように記録し、説明できるか」がますます重要視されています。
食事提供体制加算も例外ではなく、「食事を提供している」という事実だけでなく、「なぜその食事内容なのか」「どのような栄養管理を行っているのか」を記録で示せることが求められています。
令和9年度報酬改定では、食事提供体制加算の見直しが行われる可能性もありますが、どのような制度となった場合でも、「利用者一人ひとりに応じた栄養管理」と「根拠ある記録」の重要性は変わらないでしょう。
行政書士浅井事務所では、運営指導対策を見据えた各種加算の算定支援や、必要書類の整備、運営規程・マニュアルの作成支援、各種研修資料や記録様式の整備など、障害福祉サービス事業所の皆様が安心して運営できる体制づくりをサポートしております。
制度改正は事業所にとって負担となる側面もありますが、日頃から適切な記録と体制整備を進めておくことで、運営指導にも落ち着いて対応でき、利用者へのより良い支援にもつながります。今後も厚生労働省から公表される最新情報を注視しながら、早めの準備を進めていきましょう。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。



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