コラム
居宅介護、重度訪問等の訪問系サービス、訪問介護の開業要件と法改正の概要について
こんにちは。行政書士の浅井です。
本日は、新年度になって訪問系サービスの開業等をご検討されている方も多くいらっしゃると思いますので、居宅介護、重度訪問等訪問系サービスの開業要件と、主に訪問介護についてですが、法改正の概要をお伝えしたいと思います。
訪問系サービスを開業するには?満たすべき3つの要件について解説
訪問系サービスを開業するには、都道府県等の指定権者より、指定を取得する必要があります。指定を受けることで障害福祉サービス報酬や介護報酬を国保連に請求できる事業者となることができます。
指定をとるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 法人であること
- 人員基準を満たしていること
- 設備基準を満たしていること
上記についてお伝えしてまいります。
1. 法人であること
個人事業主では指定をとることができません。必ず法人であることが必要です。
法人については株式会社や合同会社等の営利法人以外にも、NPO法人等の非営利法人やその他の法人についても認められています。
法人であることと、もう一つ大切な要件として、定款の事業目的に、障害福祉サービス事業や介護事業を行うことについての記載があることが必要です。必要な文章としては指定権者によって異なることがありますが、一般的に使われる文章としては以下のものがございます。
- 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業
- 介護保険法に基づく居宅サービス事業
- 介護保険法に基づく介護予防サービス事業
- 介護保険法に基づく第一号事業
- 介護保険法に基づく訪問サービス事業
等となります。指定権者によって求める文章が異なるケースもありますので、事前に指定権者に必要な文章をご確認頂くことをお勧めします。
2. 人員基準を満たしていること
必要な人員は、管理者、サービス提供責任者、訪問介護員となります。
【管理者】
訪問介護事業所では、管理者を1名置かなければなりません。
管理者になるための資格要件は特にありません。
管理者は訪問介護員の業務を兼ねることも可能です。
【サービス提供責任者】
利用者数により配置人数は異なりますが、最低限1名以上の配置が必要です。
サービス提供責任者の資格要件
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 介護職員基礎研修課程、1級課程、看護師等
【訪問介護員】
常勤換算で2.5名以上の訪問介護員が必要です。
訪問介護員の資格要件
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 初任者研修修了者
- 旧介護職員基礎研修過程修了者
- 旧ホームヘルパー1級課程修了者
- 旧ホームヘルパー2級課程修了者等
人員基準を満たすには管理者、サービス提供責任者、訪問介護員がいるかだけでなく、常勤かどうかも重要な指標となってくるため、常勤換算方法についてもご説明します。
【常勤換算方法について】
事業所の労働時間が例えば1日8時間、1週当たり40時間だった場合、勤務時間合計(100時間)÷ 事業所の所定労働時間(40時間)= 2.5名と計算します。
なお1週当たり所定労働時間は、一般的には40時間ですが、事業所が独自に定めることができます。
所定労働時間が少ないほど上記の計算例で言う「勤務時間合計」が少なく2.5名を達成することができますが、所定労働時間の下限は32時間とされています。
3. 設備基準を満たしていること
訪問介護の事務所については特に面積の基準は設けられておらず、「事業の運営を行うために必要な広さ」があれば良いこと、とされております。
【事業所の広さ確保の最低基準】
- 事務室には常勤換算の人数分(最低3セット)の机と椅子が入る広さ
- 相談室は、相談ができる広さ(机1つ、いす4つが入る広さ)
これらが収まれば、訪問介護事業を開業することができます。
<備品・設備リスト>
- 手指洗浄設備があること(ペーパータオル、手洗いアルコール、ハンドソープも置くこと)
- トイレ
- 相談室
- 個人情報保管用として鍵付キャビネット
- 人数分の机、椅子
- 電話器
- FAX(複合機)
- パソコン
上記を設置したことがわかる図面と写真を撮影し、指定申請書類に添付して提出します。
指定権者によっては開業前に現地確認も行われます。
訪問系サービスにおける法改正の概要のおさらい
最後に、以下主に訪問介護についてですが、訪問系サービスにおける法改正の情報をお伝えします。
○ 全サービス共通の変更内容
- (1)人員配置基準における両立支援への配慮
- (2)管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
- (3)いわゆるローカルルールについて
- (4)「書面掲示」規制の見直し
○ 訪問介護
訪問介護基本報酬
- (1)訪問介護における特定事業所加算の見直し
- (2)業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入(業務継続計画未実施減算【新設】)
- (3)高齢者虐待防止の推進(高齢者虐待防止措置未実施減算減算【新設】)
- (4)身体的拘束等の適正化の推進
- (5)訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の見直し
- (6)訪問系サービス及び短期入所系サービスにおける口腔管理に係る連携の強化(口腔連携強化加算【新設】)
- (7)介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化
- (8)テレワークの取扱い
- (9)訪問介護における同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し(同一建物減算新区分【新設】)
- (10)特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
- (11)特別地域加算の対象地域の見直し
上記の詳しい情報は以下厚生労働省の情報にてご確認お願いします。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index_00010.html
以上が訪問系サービスを開業する上での主な要件と法改正の概要となります。
ぜひ開業の際はご相談を頂けましたら幸いです。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日が皆様にとって素晴らしい日となりますように。