コラム
障害福祉サービス事業における施設外就労とは?
こんにちは。行政書士の浅井です。
本日は、障害福祉サービス事業における施設外就労についてお伝えします。
就労支援事業等においては、事業所内ではなく施設外で作業を行う仕組みとして
施設外就労という制度があります。
今回は施設外就労の概要やルール、メリット、負担等についてお伝えします。
目次
1.施設外就労とは
就労支援事業所が外部から仕事を請け負い、利用者がその当該企業に伺い作業を行うものです。
指定を受けた事業所とは別の場所で活動を行い、障害福祉サービスの報酬を算定できる特例制度です。
施設外就労で代表的なものとしては、パソコン作業、検品、商品仕分、袋詰め、箱組立、清掃、洗濯等があります。
2.施設外就労の要件
施設外就労にはいくつかの要件があり、要件をクリアすることが重要です。その要件をご紹介します。
■施設外就労に就ける総数=事業所の利用定員を超えないこと
施設外就労に就ける総数が、事業所の定数を超えてはいけません。
例えば、20人定員であれば、施設外就労に就けるのも20人までとなります。
■施設外就労しているものと同数のものを、事業所の利用者として新たに受け入れることができること
施設外就労により就労しているものと同数のものを事業所の利用者として、
新たに受け入れることができる必要があります。
例えば10人が施設外就労しているのであれば、事業所では10人の利用者を受け入れて
支援を行える体制であることが必要です。
■施設外就労先との請負作業に関する契約を締結すること
請負契約の責任について、報酬の算定方法、設備等の借り入れについての3項目は必ず契約書に明示し合意が必要です。
■施設外就労先に利用者が行くことに必要な職員配置をすること
施設外就労先に利用者が行くことに必要な職員配置が必要です。
6:1の人員配置区分をしている事業所であれば、6人の利用者が施設外就労先に行く場合、
1名の職業指導員又は生活支援員が施設外就労先に行く必要があります。
また事業所内においては前年度の実績に応じた人員配置を、
施設外就労に行く職員を除いて配置できていることが必要です。
■書類の用意と記載
個別支援計画書への記載、達成度の評価等の記録、事業所の運営規程に施設外就労についての記載、施設外就労実績報告書の作成、必要に応じて管轄の自治体に報告書の提出が必要です。
■施設外就労先での同行する職員の対応
利用者が施設外就労先で怪我等した時の緊急時の対応や緊急連絡先のリスト作成、
アセスメント及び企業との支援ノウハウの共有や調整、利用者への指導等を行うことが必要です。
3.メリット
上記のように要件が多い施設外就労ですが、利用者や企業にとっては多くのメリットがあります。
【利用者のメリット】
一般企業に行くので、社会性の向上が考えられます。
作業能力の向上や工賃の向上、お世話になった就労先企業への就職等も考えられます。
リタイヤした利用者の受け皿、再就労先としての受け皿にもなります。
【企業のメリット】
労務管理の軽減、社会保険料等のコスト削減、人手不足の解消、障害者雇用促進の機会、
障害者雇用管理におけるノウハウの蓄積等。
またCSR、SDGs等企業の社会貢献活動としても大きなメリットがあります。
【福祉事業所のメリット】
安定した作業の確保と高工賃、就労支援スキルの向上、イニシャルコストの削減等のメリットが考えられます。
企業に迷惑をかけることとなるので、品質管理や納期等の責任が問われます。
そのため人員の変更や職員のフォローが大切となります。
最後に(まとめ)
就労先企業との長期的な取引をしていくためには、利用者の特性や福祉サービスとしての理解を
施設外就労先にも理解して頂くことが大切なため、施設外就労先との良好な関係作りが大切です。
また共に社会を良くしていくというパートナーシップの形成も大切となります。
施設外就労を運営するうえでは、安全性の確保、作業の質の向上、アセスメントの3つを意識することが大切です。
利用者の能力や強み等のアセスメント、就労先企業との連携、働きやすい職場環境作り、
トレーニングの実施、適切な評価と報酬の支払、能力開発の支援、地域社会との連携を取りながら、
職員は利用者への支援だけでなく、施設外就労先への支援という両方への支援を意識することが、
施設外就労をうまく運営していくためには大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。